モーション研究室

ゲーム業界のモーションデザイナーが書いてるモーション講座

【MAYA 初心者講座】攻撃モーション Lv16(ブロッキング)

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攻撃モーション 前回の記事はコチラ▼

【MAYA 初心者講座】攻撃モーション Lv16(ブロッキング

2つの分類

モーション制作では大きく以下の2つに分類されます。
(ジャンルにもよりますが概ねこんな感じかな)
 
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待機、歩き、走りなど ループ系のモーション
 
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攻撃やダメージなど 待機 ⇒ 1アクション ⇒ 待機 へと繋がるモーション
(待機 ⇒ ループ ⇒ 待機 というパターンもあります)
  
要するに『待機から派生するか しないか』という分類ですね。
攻撃は待機から始まり待機へ戻るモーションなので待機モーションが必要となります。
その為、待機や移動系を作成後に攻撃に着手するケースが多いでしょう。

攻撃モーションとは

『攻撃モーション』とは対象者、対象物へ攻撃を加えるモーション、と一括りにしていますが数えきれない程の種類が存在します。
素手だけでなく剣や弓、斧などの武器種で攻撃したり、投げたり、銃器で弾丸やエネルギー弾を発射したりと様々な攻撃手段があり、全てを書くとなると大変なのでそういう部分には今回は触れず、ある程度の共通部分について書いていきます。
 
なお、今回は片手剣で作成していきます。
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作業工程

モーションのネタから考える場合は、だいたい以下の順番で制作します。

ブロッキング(ラフ)⇒スプライン(作り込み)⇒ポリッシュ(ブラッシュアップ)

チェッカー共にイメージが固まっているものであれば、スプラインから入ったりもします。
 
今回チェッカーという言葉を多く使用しますので軽く説明しておきますね。
チェッカー

チェックをする役割の方。商品の品質責任者。
プロジェクトによっては存在せずディレクターがその役を担う場合もあるが、チェッカーがいる事で質の向上、バラつき抑制に繋がる。担当毎に複数人いる場合もあります。

ブロッキング

では、ブロッキングとは何かというところから始めましょう。
 
ブロッキングは該当モーションの大まかな流れ、タイミングなどブロック(区切った)状態でモーションを組んだものを指します。パラパラアニメに近い状態ですかね。
ただ等間隔にポーズを作っていくのではなく、要所を抑えたポーズで構成し全体的な流れを表現する方法となります。
 
この要所を抑えたポーズ=一番 目に残るキーポーズとなりますので、この段階でカッコ悪かったりすると後々にまで響いてきます。

ブロッキングの主な役割

・こういうモーションを作ろうとしています!というのを早い段階で共有できる
・短時間で数パターンのアイデア出しを行い、より良い動きを選出できる
・脳内イメージを具現化し大きな差異がないかを確認する
・チェッカーに確認、OKを貰う事で自信を持って今後の作業を進められる
・作業者もチェッカー側も大きな巻き戻り(作り直し)を抑えられる
・指定フレームに納まらない等の問題点を早めに相談、対策を講じられる
・各ポーズをフレーム移動してメリハリの良いタイミングを模索できる

ブロッキングで便利なのが[Step Tangents]もしくは[Enable Stepped Preview]
特定のフレームまでポーズを持続します。
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要所ポーズ 其の壱

見せたい要所ポーズは 最初の待機 ⇒ 予備動作 ⇒ HIT近辺 ⇒ 戻りの待機 ですが
(戻りの待機は進んだ位置で待機へ戻るパターンと最初の位置に戻るパターンがあります。今回は後者とします)
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なんだかゲームウォッチのキャラクターのようですね。
これだけでも何となく動きを想像する事は出来ます。
 
これで伝わるのであれば問題ないのですが個人的にはこれでは不十分に感じます。

要所ポーズ 其の弐

次はHIT前後のポーズをもう少し増やしてみました。
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剣の軌道や各パーツの動きがある程度分かるまでにはなりました。
これ位であればチェッカーとしても想像し易いレベルかと思います。
 
ちなみに待機への戻りはこの段階ではあまり重要でもないと作っていませんが、必要と判断されれば作成します。
どこを重点的に見たいか、チェッカー(確認者)と事前に話し合いをすると良いでしょう。

チェックして貰う

ブロッキングはチェックして貰うまでがセットだと考えておきましょう。
チェッカーが存在しない部署であれば同僚でも担当プランナーでも良いです。
自分以外の人に見て貰う事で自分では見えていなかった部分が見えてきたり、新たな指針を発見できたりします。
 
作ったものを批評されるのは辛いところですが、ブロッキング段階であればいろいろ言われても作り込み前なので手直しも容易 & 精神的ダメージも最小限ですみます。
 
さて、この記事ではチェッカーも同僚もいませんので自分で自分をチェックしてみます。

・1m前進させているが出過ぎかな、剣が1m先の対象に当たるように変更する
・1m地点に対象物を置いてみよう
・上に飛びすぎ、蹴り攻撃に見えないようにも気を付ける
・飛び始めに既に対象に剣がHITしているように見えるので剣の軌道を見直してみよう

上記を踏まえたブロッキングで再度確認して貰うのが良いですがブロッキングについてはもうお分かり頂けたかと思うので、この点を踏まえスプラインへ進みたいと思います。

まとめ

今回はブロッキングについて書いてみました。人に伝える為の最低ラインの動きの構成 いろんな場面で使えますので実践してみて下さい。
 
気を付けて欲しい事として少し追記します。
ブロッキング確認でOKを貰った後、剣を縦振りから横振りに変えたりと元ネタから大きく変更する場合は事前相談するか再チェックして貰いましょう。
作業者が試行錯誤した流れで動きが変わってしまったという事はたまにあります。
しかしそうなると確認した意味が無くなってきます。
 
チェッカー(確認者)はブロッキングイメージで止まったままなので『OK出したものと違っているので前のに戻して欲しい』となったり、作業者は『折角作ったのに!!』とトラブルの原因になったりもします。
ブロッキングの延長線上の動きになるよう気を付ける、もしくは細目に制作状況を報告すると良いでしょう。
 
チェッカーとのコミュニケーションも大事なスキルです。
将来教える側になった時に備え、どういう点で指摘されたか、疑問点が晴れるまで質問したりとチェックを受けている間はメモ魔、質問魔になりましょう。
 
それでは。

次回


 

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