モーション研究室

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【MAYA 初心者講座】待機モーション Lv8(Fカーブ)

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待機モーション 前回の記事はコチラ▼

【MAYA 初心者講座】待機モーション Lv8(Fカーブ)

上半身 腰⇒頭へ

では下半身から上半身に移ります。
上半身といっても腕はまだ付けず、腰⇒腹⇒胸⇒首⇒頭 への流れを確定させます。
 
ここでも重要なのは『ラグ』と『力の伝達』です。
下半身からの力の伝達も意識しておかないと下半身と上半身の繋がりが感じられないチグハグなモーションになります。動きの基点は腹からスタートではなく腰からです。
 
ただ腰から頭にかけては動きが微細で100%視覚だけに頼るのは難しいので、動きをグラフ化(波形化)したグラフエディターを活用します!
 
Windows>Animation Editors>Graph Editor
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Fカーブが良く分からないという人には以下をご参照下さい。

Fカーブでラグを確認する

先に7割完成の状態のものをあげておきます。
(腕も付けた状態で更に調整するので7割程度で止めおきます)
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良く見ないと分からないかも知れませんが腰から頭にかけて少~し遅れて動いています。
  
腹~頭までのFカーブを表示するとこんな感じです。
と、、、これでは全然分からないですね。
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角度の数値がバラバラなのでこうなってしまいます。
分かり辛いので別の方法で確認してみましょう。
 
普段は使わないのですが絶対ビューモードにすると波形の最大と最小に揃えて表示されます。
(表示方法を変えただけなのでFカーブに変化はありません)
(Fカーブの状態を元に戻す場合は赤い□のアイコンを押して下さい)
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これで波形のタイミングがズレているのが分かりやすくなったかと思います。
画像の通り、XYZ各軸 1~3フレーム程のズレが入っています。
  
この波形のラグが広がると軟体動物のようにフニャフニャな動きになり、逆にラグがほぼ無い場合はカッチリ固定された動きとなります。
今回の待機に関しては微妙に分かるくらいの微かなラグ(1~2フレーム)にしています。
 
軸毎に分けて説明するとこんな感じですね。
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一番最初に腹の波が最大値(or最小値)に到着、その後で 胸⇒首⇒頭へと続いていきます。
(首のY軸は付け忘れです。。。首も大事ですョ。)
 
この波形の縦幅(波幅)到着時間のズレ これが視覚化された動きの大きさラグです。

ちなみにこの波形をX軸で反転すると頭が先行した蛇のような動きとなります。
(でも待機だと分かりニクいですねー)
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Fカーブの把握

それぞれの波形の最大&最小値のタイムラグこれが全身で起こっているのです。
 
複雑な動き&構造になればなる程にFカーブの量は増えてゴッチャゴチャになっていきますのでFカーブの整理、把握がより重要になってきます。
待機モーションの段階できちんと理解、把握できるように訓練しておきましょう。

『〇〇は▲▲より遅れてやってくるのでFカーブはこうなるな』

『ちょっと動きが固いな。。。ラグを見直すか。』

『ん?何か動きの引っ掛かりを感じる。なるほど、この辺のFカーブが原因か』

 
などなど。
Fカーブの流れを理解できれば、逆にFカーブだけ見れば動きも想像できるようになります。

大袈裟に作る

『完成したものの全体的にこじんまりとしたモーションになってしまった。。。』
という事が最初のうちはよくあります。
  
腰からの流れで作っていくので上流の動きが小さいままだと、その動きに引っ張られます。
インパクトが足りないなと感じたら思い切って腰からこれはやり過ぎだろうくらい変えてみるのも良いでしょう。(ダメだった時の為に前のデータはちゃんと取っておくのを忘れずに)
 

また動きが見え辛い部分は揺れ幅を大きくして確認しましょう。
前後の揺れ等は分かり易いんですけど、その他の横のねじりは揺れが小さいと見え難いので敢えて揺れ幅を大きくします。
【胴体の横のねじりを強調したgif】
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これだけ揺らせば変ですけど分かりますよね!
 
この状態でどの程度のラグを入れれば自然かを確認し終えたら(腹から順に)徐々に揺れ幅を抑えていきます。そうするとだいたい修正前の揺れ幅より大きめで落ち着く事があります。
 
 
動きが小さい状態から大きくするより、大きい状態から小さくした方がよく見える分、調整もし易いですし『お、意外とこれくらいの大きさの方がいいかもっ!』という発見があったりします^^
 
粗削りでも思いきりがある方が見る人に伝わりやすい気持ちのこもった作品に仕上がっちゃうものですのでやり過ぎくらいから抑えていく方法をオススメします
 

まとめ

私の場合ですが作業の中盤から終盤にかけてはFカーブを調整する時間が多くなります。
しかし、Fカーブだけに頼り過ぎてもいけません。
 
Fカーブは動きをグラフ化したものですがキレイなカーブ=キレイな動き、と一概には言えず多少乱れたままの方が面白い場合もあります。
Fカーブの数値や乱れたキーをキレイにする事に囚われず、この波形がどういう意味を持つのか、都度 自分の目で確認、判断しましょう。
 
それでは。

次回

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