モーション研究室

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【MAYA 初心者講座】待機モーション Lv7(ラグ)

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待機モーション 前回の記事はコチラ▼

【MAYA 初心者講座】待機モーション Lv7(ラグ)

ラグを意識する

ラグ(lag)とは

命令が実行・反映されるまでの遅延時間の事

 
もうちょっと大きく捉えた言い方をすると慣性の法則となります。
 慣性の法則とは? 見かけの力って? 電車の例で解説!|高校生向け受験応援メディア「受験のミカタ」
 
アニメーションの12原則ではフォロースルー&オーバーラッピングが該当します。
https://the12principles.tumblr.com/post/84177204689/follow-through-overlapping

   ↑ こういうの
 
その他にはオーバーシュートやドラッグなどもそうですね。(用語が多くてちょっと混乱w)
 
要するに...動いているものは動き続けようとし、止まっているものは止まり続けようするという動きの遅延を総じて『ラグ』と呼んでいます。

慣性の法則はモーションでは基礎として大変重要な法則です。モーションのあらゆる部分で多用しますので、しっかりと知識として身につけておきましょう。(数式まで覚える必要はないです)
 
いろいろ例を挙げましたが、ここでは『ラグ(lag)』で統一して説明します。
力の伝達にも関連しますが、ここで言う『ラグ』とは力が親から子へ伝わるまでのタイムラグを指します。
 
ではラグを意識しつつ下半身を作っていきます。
(武器と盾は今回は邪魔だったので非表示にしています)

(親)腰トランス ⇒ (子)腰ローテーションのラグ

XYZ軸に腰トランスからの回転ラグ(遅延)を加えたものを動画にしました。

まずは腰から。
腰のトランス(移動)を付けたのみで完了とせず、腰のローテーション(回転)もしっかりと付けます。回転の有無で印象に差が出ますので疎かにしないようにしましょう。  

気を付けないといけないのは動かす大きさとタイミング。
動きが大き過ぎたりタイミングが合っていないと腰の移動以上に回転が目立ち、不自然さが際立ちます。
どれ程の揺れ幅、タイミングが適切かを見極め時には自分の体にも聞いてみましょう。
いろいろと模索してみる事です。

(親)腰 ⇒ (子)足のラグ

次は腰から足へのラグを加えていきますが、まずはNGパターンを幾つか置いておきます。腰と右足を見比べてみて見極めが出来るかも試してみて下さい。

腰より先に足が動いてしまっている

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腰と足のタイミングが一緒

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右足が動いてしまって接地感が無い

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腰より動き過ぎている

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如何だったでしょうか。
 

では(ほぼ)正解はコチラ

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ここで気を付けるポイントとしてはつま先を基点に動かす事です。
つま先と言っても先端ではなく母趾部分、指の付け根です。

 
 

   
自分で動いてみると分かりますが、このポーズで前後に動いた際は両足共にこの辺りに体重が乗っています。一番体重が乗った状態で指の付け根を動かすのは困難なので、この状態で付け根がスライドして動いていたりすると接地感も無く不自然となります。
   
かといって足を固め過ぎるのも勿体ないので体重が乗っている左足はカカトを微妙にスライドさせています。(ホント良く見ないと分からない程度に微妙に)
簡易的なリグ構造ではつま先基点で動かす事は難しいので『動かさない』という選択肢もありますが、極力こだわりたい部分ですね。
つま先基点制御は重宝しますのでリグを組まれる方は是非盛り込んでみて下さい^^ 

ポイント

足裏のどの部分に体重が乗り、アクションによってどのように足裏の体重変動があるか。
この足裏にかかる微細な体重表現、動きのこだわりは『コイツできるな!』と思われる部分の一つです。アクション動画等を見る時は足の微細な体重移動、基点となる部分、足捌きを注意して見てみましょうー

アップベクターも忘れずに

アップベクターとは

IK(インバースキネマティクス)構造において肘や膝の方向を制御するコントローラ

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ここも疎かにしがちですが、しっかりと腰と足の動きに沿って動きを加えていきます。
ここも同様に動かし過ぎず、動かなさ過ぎずの加減が大切となります。
そして、さりげなく前回の『円運動』もしています。

まとめ

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では今回は下半身まで作りましたが、このようになりました。
一応書いておきますが左がビフォーで右がアフターですw
(2体出すと自PCのスペックが低くてノロくなってしまう・・・)
えーと、ちなみに これで100%下半身が完成だ!!という訳ではありません。
 
上半身の動きを加える事で下半身の不自然な箇所が目立ってくる事があります。
 
その際に多少の巻き戻りを恐れずに全体を捉え、微調整を加えていきます。
デッサンでいったら大きくパースが狂っていない状態で描き込みに入るかどうかの段階です。
パースが狂っている段階で描き込んでしまわないように下半身7割程度(自分の最低合格ライン)を維持しつつ、更なる合格点を目指しながら完成させます。
(この最低合格ラインが異様に高い人が世の中にはゴロゴロいるんですよね・・・)
 
絵と一緒で上手い人は巻き戻りの回数が少ないので結果的に作業が速く正確です。
 
それでは。

次回



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