モーション研究室

ゲーム業界のモーションデザイナーが書いてるモーション講座

フレームレートの意味【映画、ゲーム、アニメで違うのは何故か】

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フレームレートの意味【映画、ゲーム、アニメで違うのは何故か】

自分自身ちゃんと説明できるかどうか疑問でしたので、ちょっと調べ直してみました。
備忘録としてまとめておきます。

私が調べた事は諸説ある部分も大いに含みますのでその点ご留意下さい。
『お、詳しいな!』と思われるくらいまでは書いたつもりです。

フレームレートってなに?

まずは根本的なこの部分からですね。
 
1行で説明すると

動画において1秒あたりに処理させるフレーム数(静止画像数、コマ数)という事です

そして1秒間に使用するフレームの単位がfpsです。
(距離とkm。重さとkg。フレームレートとfpsみたいなもの)

fps(frames per second)
読み方:エフ・ピー・エス/フレーム・パー・セコンド

『フレーム・パー・セコンド』では長いので『フレームレート』『エフピーエスで話は通じます。
 
参考になるサイトを幾つか紹介致しますのでもっと知りたい方は以下を読んで補間して下さい。
ゲームだけでなく写真、映像等でもfpsは使用される用語なので覚えておいて損はないです。
 フレームレートの30fpsと60fpsの比較。これって違いあるの?「てかfpsって何?」って方にもFPS意味説明!
 「i」「p」「fps」?分からないことばっかりのフレームレートについて解説してみる

ちなみに上のサイトでも書かれていますが、シューティングゲームで使われる

FPS(First Person Shooting)【一人称視点シューティング】

とは違いますので会話の際はご注意を。
FPSでもfpsは関係してくるのですが、とか書くと余計混乱するのでここは興味があればググってみて下さいw

なぜ、映画とゲームでfpsが違うのか

映画は24fps / ゲームは30fps

正直どういう理由で規格が分かれているのかまで掘り下げて調べた事はなかったので勉強になりました。
 
正しくは映画とゲームで比較するのではなく映画とテレビでの比較となります。
それはアナログ時代の古い歴史、映画とテレビの始まりから。

  • 映画の始まり  1890年代
  • テレビの始まり 1930年代

映画の方がテレビより約半世紀程早く始まっています。映画は大先輩ですね!

24fpsの映画

24fpsと書いていますが映画は最初は16fpsで作られていました。
いわゆるサイレント映画という音無し映画です。
それに音が付くようになると16fpsでは問題が発生。
音を入れる為の容量を増やす必要に迫られ、その結果24fpsという新たな規格が誕生しました。それが今日までの映画の標準フォーマットとなり映画機材は24fpsの規格に統一されています。

30fpsのテレビ

それから約40年後。テレビが開発され一気に普及しました。
では何故、後発のテレビは映画の24fpsを採用せず30fpsになったのでしょうか。
 
それはアメリカで開発された際の周波数が60Hzだったのが影響しています。
24fpsでは周波数との相性が悪くチラ付きが起こっていた為に30fps規格となったそうです。
ちなみにヨーロッパ圏は50Hzだった為25fpsが普及しており、ヨーロッパの映画/テレビは1秒25コマで撮影されているのがほとんどです。
そのため24fpsや30fpsといった話はアメリカを基準とした話であり、フィルムと周波数、国の規格の違いが絡み合っているのです。
  
この辺りの説明は以下のサイトが参考になりますので紹介しておきます。
ちょっと複雑になってきましたがフレームレートの2大勢力が存在しますよ程度に覚えておけばOKでしょう

24fpsのアニメ

アニメはテレビ側に属していそうですが24fpsとなっています。
セル画をフィルムでコマ撮りをしていた為、制作スタイルが映画に近い事、そしてコストの面から見ても24枚が都合が良いという事で採用されたのでしょう。
ヌルヌル動くディズニーアニメは秒間24枚描いていたそうですが、アニメ界は更なるコストダウンの為に16枚、8枚と枚数を間引いて制作された作品も存在します。間引くにも偶数枚の方が都合は良さそうですね。
(あまりアニメ業界に詳しく無いので30fpsで作られているものも今はあるかも知れません)
 
テレビ放映するに辺り、最終レンダリング時に30fpsに変換するのだそうです。

映画らしさ、ゲームらしさ

さて、今まで書いたのはアナログ時代の話が主となります。
デジタル化が普及し、映画⇔テレビでの規格の変換は容易でありコストで問題になる事はありません。コスト云々というのは既にfpsを分ける理由の一つとはなっていないようです。
 
では今も根強く分かれている理由はいったい何でしょうか?
 
 
映画が24fpsである理由、それは『映画っぽい』という感覚的なもののようです。
 
確かにテレビ放映されているドラマ等が劇場版になると、何だかいつも見ているテレビとは違う印象を受け、急に映画っぽくなるんですよね。
fps以外にも要因はある訳ですが、単純に映画っぽいという表現の第一段階として24fpsが選ばれているのも分かる気がします。

ちなみにアメリカでは、ニュース番組/ホームビデオ系は30fpsで制作されいるが、映画寄りなドラマ番組(Game of Thrones等)は映画と同じ24fpsで制作されているそうです。

  

60fpsについて

24fps、30fpsと書きましたが 60fpsも存在します。(それ以上の120fpsもあります)
 
つまり1秒間に60フレーム使用されているという事なので、動きがとても滑らかになります。
試しに走るモーションをfps毎にgif化してみました。
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15fpsはカクカク、60fpsは手足の軌道が滑らかになっているのが分かりますでしょうか。
今までの流れから見ると、15fpsはアニメや古い映画チックに見えなくもないです。
fpsを変えただけでも印象は変わりますね。
 
ゲームの場合は30fpsで開発したものをゲーム機では30fps、処理能力の高いPCでは60fpsで再生する事が可能です。(PCだけでなくPS4等も60fps再生は出来ます)

そうすると、よりモーションが滑らかになるので粗が目立つようにもなってきます。
4K放送が始まって女優さんの肌目まで分かってしまうような恥ずかしさと似ていますw
 
モーションもより繊細に作っていかないとバレちゃいますね!! 

48fpsの映画『ホビット

ちなみに映画でも24fpsの倍の 48fpsで放映されたものがあります。
映画『ホビット
The Hobbit The Battle of the Five Armies Official Trailer [48FPS] [HD]

 
youtubeのコメント欄には英語で『良くできたゲームだ』『テレビドラマのようだ』など批判めいた言葉が書かれています。fpsが上がった事で映画というよりもゲームやテレビらしく見えてしまったようです。(個人的には48fpsも悪くないですが^^)
必ずしもfpsを上げれば万人にウケる という訳でも無いようですね。
  
子供の頃、日本のアニメに慣れ親しんだ状態でディズニーアニメを見た時のヌルヌル動く違和感に似たものを感じます。

まとめ

fpsの違い それはフィルムと周波数、そして国 それぞれの文化の違いである 

フィルムが要因の24fpsの映画とアニメ、そして周波数が要因の30fpsテレビ。
24fps、30fpsと数字だけでは見えてこなかった、それぞれの歴史を知る事でフレームレートについての理解を深める事が出来ました。

fps 説明 上位版
24fps アメリカ、日本、韓国等の映画、アニメの規格 48fps
25fps ヨーロッパ圏を中心とした映画、テレビの規格 50fps
30fps アメリカ、日本、韓国等のテレビの規格 60fps

日本のゲームはテレビゲームと言うだけあってテレビ寄り(更にはアメリカ寄り)である為
30fpsが標準フォーマットとなりますので、私の場合はそれを基本とした話の進め方となります。
アニメや映画寄りの方は24fpsで話される事になるでしょうし、ヨーロッパで仕事をされている方は25fpsを基本として話される事になります。
 
セミナー等を受けていて若干やり方が異なる部分があるなというのはこの辺りが関係してきますので、考慮しつつ聞くと良いかと思います。
やり方はそれぞれの文化であり、いずれも間違いでは無いと言う事です。
もしかしたら今後更に規格が統一される日も来るのかも知れませんね。
  
 
お話は以上となります。
長い文章を読んで下さりありがとうございました!


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